皆さんこんにちは。
すばるプロフェッションズ 登記コンサルタント・司法書士の中村 剛です。
-
司法書士は、法律と登記をとおして財産と権利を護る仕事をしています。
具体的には、不動産登記や会社・法人の登記手続き、裁判所への書類作成などをサポートします。
-
司法書士に加えて、不動産の表示登記の専門家である土地家屋調査士、不動産に詳しくなるため宅建など不動産の資格や、ファイナンシャル・プランナーも取得して、多角的にお客様の問題を解決しています。
-
今日は、38年ぶりに相続法が大改正され、相続に関するルールが大きく変わり、段階的に施行されていきますので、いくつか代表的な事項について、何が変わるのか、いつから施行されるのかを司法書士の立場からお話しします。
-
今回は制度全体についてお話して、次回以降説明します。
-
高齢化社会の進展に伴い、社会経済の変化が生じていることから、配偶者の生活保障の必要性が相対的に高まるなど、そのような変化に対応するため相続法に関するルールを大きく見直しています。
-
①配偶者の居住権を保護するための制度の新設
配偶者が居住建物を取得する場合、他の財産を受け取れなくなってしまう場合があるのを、自宅での居住を継続しながらその他の財産も受け取れるようにする制度になります。
-
②遺産分割等に関する見直し
夫婦間で贈与等を行っても、原則として、遺産の先渡しをうけたものとして取り扱って、配偶者が最終的に取得する財産額は、贈与等がなかった場合と同じでした。
それを、婚姻期間が20年以上である夫婦間で居住用不動産の贈与等がされた場合、原則、遺産の先渡しを受けたものと取り扱わないこととするようになります。
結果として、配偶者はより多くの財産を受け取ることができるようになります。
-
③遺言制度に関する見直し
自筆証書遺言について、財産目録を手書きで作成しなくてもよくなりました。
すでに2019年1月13日に施行されているため、これからは、パソコンで目録を作成したり、通帳のコピーを添付して作成できるようになっています。
財産目録についてだけで、全文をパソコンで作成できるわけではありません。
以前は、全文自書が必要で、つまり、不動産がたくさんあっても手書きすることが、必要でした。
-
④遺留分制度に関する見直し
遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人について、生活保障を図る観点から、最低限の取り分を確保する制度になります。
現在は、遺留分を行使すると、共有状態になって複雑になり、円滑な事業承継が困難でした。
それを、遺留分の侵害額に相当する金銭を請求することができるようにし、共有関係が生ずることを回避できるようになります。
-
⑤相続の効力等に関する見直し
-
⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための制度の新設
特別の寄与の制度の創設になります。
現行では、相続人以外の被相続人の親族(亡き長男の妻など)が、被相続人の介護を行っていて、相続人(次男、長女など)が被相続人の介護を全く行っていなくても、被相続人の死亡の際に、亡き長男の妻は、相続人でないため、相続財産を受け取ることができません。
改正により、亡き長男の妻は、相続人に対して、金銭の請求をすることが認められるようになります
-
改正される法律が実際に施行されるのは、以下のようになります。
-
2019年1月13日~
③遺言制度に関する見直し 
自筆証書遺言の方式を緩和する方策(なお、法務局において自筆証書遺言を保管してくれる制度は、2020年7月10日からになります。)
-
2019年7月1日~
②遺産分割等に関する見直し
④遺留分制度に関する見直し
⑤相続の効力等に関する見直し
⑥相続人以外の者の貢献を考慮するための制度の新設
-
2020年4月1日~
①配偶者の居住権を保護するための制度の新設
-
以上になります。
-
より皆さんに身近で知っておいたほうがよい改正された相続法の情報を次回以降にさせて頂きます。
-
相続に関する様々な専門家が、すばるプロフェッションズには、揃っておりますので、お気軽にご相談ください。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
-
すばるプロフェッションズ
司法書士 中村 剛