すばるプロフェッションズ・アライアンスメンバー、司法書士の中村 剛です。
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司法書士は、法律と登記をとおして財産と権利を護る仕事をしています。
具体的には、不動産登記や会社・法人の登記手続き、裁判所への書類作成などをサポートします。
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今日は、『シェアハウス投資にからむ銀行の不正融資でも登記は必要』というテーマでお話をしたいと思います。
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女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売していたスマートデイズが破綻し、多くの個人投資家が自己破産の危機に陥ってしまっています。
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個人投資家が投資資金をスルガ銀行からローンを組んで「かぼちゃの馬車」を所有し、スマートデイズが「30年間家賃を定額保証します」といって、一括で借り上げ家賃を保証する「サブリース契約」をしました。
利回りは8%の高利回り、保証は30年、借入の返済は容易とのことで多くのサラリーマンが飛びつきました。
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ところが、「かぼちゃの馬車」は入居率が5割にも満たず、オーナーへの家賃保証を継続できる状態ではありませんでした。
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スマートデイズは新たな物件販売で赤字を補填する自転車操業を続けていましたが、スルガ銀行が融資をしなくなったため破綻します。
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悪質な販売業者の巧妙な捏造が問題となっていますが、それをスルガ銀行も積極的にかかわっていたとしてニュースで取り上げられています。
かぼちゃの馬車事件だけでなく同じような案件が多数あり多くの被害者がいます。
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かぼちゃの馬車ではないですが、少し前に、同じような詐欺的手法を行っていた販売会社から被害を受けた方に登記の依頼をうけたことがあります。
その被害者は、ミニアパート建設途中に、販売会社が破綻し工事がストップしてしまいました。
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その会社は、スルガ銀行の第三者委員会の報告書にも載っている販売会社でした。
現在、「第二のかぼちゃの馬車」とも呼ばれています。
完成していないのに全額融資をしてしまい、建築資金を販売会社に持ち逃げされ、工事会社に建築代金が支払われず、手に入ったのは土地だけで、ミニアパートが完成していないままの被害者もいるようです。
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工事はストップしてしまいましたが、引き継いで工事してくれる建設会社を自ら探しだして、完成させようという段階までこぎつけていました。
販売会社は破綻し、社長が夜逃げ状態、計画倒産でないかといわれていたため、登記をするための書類がなかなか集まりませんでした。
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経緯はどうあれ、最終的には、銀行から建物建設代金の融資をうけて工事をした会社に代金を支払わなければなりません。
銀行から融資をうけるためには、抵当権などの担保をつける必要があり、その前提として、建物を完成させて、新築されたミニアパートがどういう建物なのかという建物表題登記をする必要があります。
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新築の建物表題登記がされることによって、建物の所有の帰属が明確になりますので、次の所有権保存登記や抵当権などの担保の設定登記へ進めることができます。
法務局や工事業者と何度もやり取りをして、通常の新築の時には要求されない書面も求められ、時間はかかりましたが、被害者の名義に建物表題登記をすることができました。
その後、銀行から融資を受けられ、工事代金も支払うことができたというご連絡を頂きました。
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資産として、今後、借り換えや売却などをするにも、登記がされていることが前提になります。
ただ、登記はできても、サブリース契約も白紙になり、他の銀行では担保評価がでない物件が多く実際には借り換え自体難しかったり、また、シェアハウスで半値以下で競売にかけられている物件もあるようで、被害者はいずれにせよかなり損をすることになってしまいます...
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最後まで読んで頂きまして
ありがとうございました。
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すばるプロフェッションズ
登記コンサルタント・司法書士 中村 剛